「QCサークル」「BPR」に続く、業務改革の新しいアプローチ「BPM」とは?!

継続的なコスト削減や生産性向上を実現する業務プロセス改善の取り組み「BPM(Business Process Management)」。現場レベルで継続的に推進できる改善アプローチとして、導入を検討する企業が増えています。今回は、BPMとは何か?どんな成果が期待できる?といった基本から、現場でのビジネスプロセス管理を支援する2つの技術などについてご紹介。“業務の流れを改善する”という意味で混同されがちなワークフローとの違いについても解説します。

BPM

INDEX

    業務プロセスを可視化&共有し改善へと導く経営手法

    一般社団法人日本ビジネスプロセス・マネジメント協会では、BPMについて、業務プロセスのPDCAサイクルを回して業務の成果を上げるための新しいアプローチ(経営手法)と定義しています。1990年代に提唱された業務改革手法BPR(Business Process Re-engineering)が主に基幹システムの再構築と組織のフラット化による効率化とスピード化を目的としていたのに対し、BPMでは、基幹システムのみならずフロントオフィス業務にまで対象が拡大され、現場業務の標準化、ナレッジ化、システム化を目指しているのが特長です。 更にBPMは、業務のプロセス(手順、役割分担、ルール)を役割分担している関係者で共有することで日々の業務の成果を向上させる経営手法であり、下記3つで構成されるとしています。(https://www.bpm-j.org/bpm/

    1.業務のプロセスを可視化・設計する手法:国際標準のプロセス表記法として「BPMN」が広く普及。
    2.業務のプロセスを実行・管理する情報システム:一般的に「BPMシステム」と呼ばれる。各種パッケージシステムが様々なベンダーから提供されている。
    3.上記2項に基づく業務改革の活動体系:PDCAサイクルが基本とされている。

    組織能力(現場改善力)を養い、俊敏な業務改革を推進

    様々な業務改善・改革活動に適用できる「BPM」ですが、適用されるテーマ(シナリオ)としては主に下記3つがあります。

    1.業務の改善

    複数の部門や業務システムをまたがって行う業務において、業務を担う関係者が仕事の手順や状態・やり方を共有し、チームワークを発揮するシナリオ。

    2.サービスや営業活動の改善

    カスタム要望やクレームなどお客様の要望が多様なときに、その内容に合わせて的確な対応を行うため業務の手順や内容を、迅速かつ正確に実行するシナリオ。

    3.システム再構築

    業務プロセスごとのシステムへの要求を定義したり、実際に業務プロセス単位でシステムを構築したりするシナリオ。

    企業はBPMの導入・推進によって、正確で効率的な業務を作り上げるという短期的成果のほか、経営環境の変化や業務課題を察知し現場主導で迅速な業務改善を実現する組織づくりという中長期の成果を得ることができます。またBPMアプローチを通じ“PDCAサイクルが”定着することで、継続的なコスト削減や生産性向上も期待できます。

    業務改革を推進するイメージ

    現場でのビジネスプロセス管理を支援する2つの技術

    BPMを導入して実際に業務プロセスのPDCAを回す際には、下記2つの技術を用いることで正確性や効率性を担保することができます。

    業務プロセスの表記法:BPMN(Business Process Model & Notation)

    業務を実行する際に関係者が共通に理解しておくべき、仕事の始め方、役割分担、各担当の仕事内容、お客様とのやり取りなどのフローを記述する手法です。業務の現状と改善課題、目指す姿などを関係者で共通認識するための表現方法として優れており、国際標準(ISO19510)として解説書やセミナーなどが充実しているほか、対応するBPMシステム(下記参照)も多いなどのメリットがあります。

    業務プロセス実行・管理システム:BPMシステム

    Plan(業務プロセスの設計と、画面作成/基幹システム連携など業務アプリケーションを作る)~ Do(業務の始まりから完了までの業務リストを生成し、担当者に割り振り、業務画面を提供し、進捗管理を行う)~ Check(案件一覧、個人別業務実績、業務分析、業務ノウハウの登録など、業務振り返りを支援する)~ Action(業務案件毎の実績詳細分析やシミュレーション機能を提供し、改善検討を支援する)のPDCAサイクルのすべてのフェーズにおいて業務プロセスの実行・管理を支援する情報システムです。「プロセスモデリング」「画面・処理ルール・他システム連携などの設定」「業務の実行・タスクリスト」「案件一覧・個人実績分析」「実績データ出力・シミュレーション」「業務ノウハウ表記・コミュニケーション機能」などの機能を提供するのが一般的です。

    業務プロセスのPDCA図 計画:プロジェクトの発足、チームの招集、業務の選定、業務の定義/モデル化 業務の実行:業務の割り当てと実行 業務の見直し:資源の割り当てなどの見直しによる業務の改善 評価:業務の監視、集計/分析による評価、課題の把握、経営層への報告

    いずれも、フロントオフィス業務のプロセス管理を主役となって推進するラインや現場にとって、情報システム部門と連携して円滑に推進する上で欠かせない技術と言えます。

    ワークフローとは適用業務も目的も機能も違う!

    “業務の流れの改善”と言うと、申請・承認などのワークフローシステムをイメージされる方も多いと思います。実際にはBPMシステムでも申請・承認はできますが、それだけにとどまらずあらゆる業務を対象としており、より広範な領域への適用が可能です。
    目的においても、「申請・承認業務の効率化(スピードアップ)」や「ペーパーレス化と紙の紛失防止によるセキュリティ強化」など、限定されるワークフローシステムに対し、BPMシステムは「業務のはじまりから終わりまでのプロセス改善(最適化)」と、より大きなテーマに対応する点で大きく異なります。
    機能面においても、ワークフローシステムとBPMシステムは「ドキュメント管理」や「データ連携」など、一部共通する付随機能を搭載していますが、全体としては大きく違っています。あくまで申請・承認業務の効率化を目的とするワークフローシステムでは、申請書の「フォーム生成機能」や、あらかじめ決められたタスク処理者にフローを渡す「ワークフロー機能」、今どこまで承認が進んでいるかを見える化する「ステータス機能」などに重きが置かれているのに対し、BPMシステムでは、業務プロセスのどこにムダやムリが潜んでいるのかを分析するための「モニタリング機能」や、どこをどう改善すればムダやムリを排除できるかを考えるための「シミュレーション機能」などが主要機能として搭載されています。
    ワークフローが対象とする申請・承認業務に限らず、あらゆる業務を進める上での無駄やボトルネックを見つけ出し、プロセスの組み換え・変更などで効率化を目指すBPMシステム。自社に必要なシステムはどちらか、整理して検討する必要がありそうです。

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