【中堅・中小向け】取り組みやすいところから、小さな成功体験を積み重ねて進める「バックオフィスDXのススメ」

DXの取り組みが大企業から中堅・中小へと拡大している。しかし、IT部門のリソース(人員やスキル)が限られている企業を中心にDXとは何か、何を目指せばいいのか、どこからはじめればいいのか分からない……といった声もよく聞く。本コラムでは、こうした企業にお勧めのアプローチとして、バックオフィス業務を対象としたデジタル化(≓バックオフィスDX)について取り上げ、その基本的な考え方や進め方などについて解説する。

バックオフィスDX DX推進

INDEX

    DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

    DXが注目されるようになって久しく、見たり聞いたりしない日がないほどだ。DXは、Degitalで(デジタル化によって)Transformation(変革・改革)をもたらすという意味の英語で、当初の定義は実に壮大で、社会や生活の形・スタイルを変革・改革するものとされた。

    その後DXの取り組みが拡大していくなかで、主体を企業として語るケースが増え、変革の対象も“製品・サービスやビジネスモデル”となっていった。さらに、組織や業務レベルまでブレイクダウンしてDXを捉え、“企業組織・文化や業務プロセス”を変革対象とするケースも増えてきた。

    企業レベルで取り組むか、組織・業務レベルで取り組むかによって、変革すべき対象が変わってくるが、目指すべき成果が“変革・改革という表現にふさわしい劇的な利益の拡大”であるという点は変わらない。

    バックオフィスDXとは

    組織・業務レベルのDXの取り組みとして、総務DXや経理DXといった言葉を耳にしたことはないだろうか。経理や総務といった組織にIT技術を導入して、アナログの業務をデジタル化。組織や業務を変革し利益拡大につなげる取り組みのことだ。いずれもバックオフィスにおけるDXということで、これらを括って“バックオフィスDX”と表現することもある。

    もちろん、バックオフィスには総務や経理だけでなく様々な組織があり、それぞれ下表のような業務にあたっている。いずれも企業活動を継続するうえでなくてはならないもので(それぞれ部門として独立していない場合もあるが、その役割を担う人物は必ず存在する)、屋台骨のような存在と言える。

    ちなみに下表は、一般的にバックオフィスと言われる組織(職種)について、業務内容や対応するITツールをまとめたものだが、業務レベルにまでブレイクダウンすると、フロントオフィスと言われる営業やマーケティングといった組織において、営業庶務やコールセンターのインバウンドなど、バックオフィス業務が存在することも付け加えておく。

    主なバックオフィス組織(職種)の業務内容と対応するITツール
    組織(職種) 業務内容 対応するITツール
    経理 出納、請求・支払、給与計算、経費精算など ワークフロー、経費精算システムなど
    財務 資産管理、予算管理など 会計システム、BIツール
    人事・労務 採用・退職事務、人事評価、勤怠管理など 人事システム、勤怠管理システムなど
    法務 契約、社内規定整備、訴訟対応、知財活用など 電計契約、文書管理システムなど
    総務 備品管理、購買、来客対応、社内ヘルプデスクなど 資産管理ツール、問い合わせ管理システムなど
    情報システム 社内ITの導入・運用、ID・セキュリティ管理など PCキッティングサービスなど

    さきほど、DXは“変革・改革という表現にふさわしい劇的な利益の拡大”をもたらす取り組みとしたが、「そもそもバックオフィスは“コストセンター”と言われる通り利益を生まない組織では?」と思った方がいるかもしれない。確かに、バックオフィスは営業やマーケティング、製造・生産といったフロントオフィスと違い、直接売上拡大に貢献したり、利益を稼ぎ出す製品・サービスを生み出したりはしない。しかし、バックオフィスにおけるコスト削減とフロントオフィスによる利益増は、経営におよぼすインパクトという意味では変わらない。バックオフィス業務のデジタル化によって大幅なコスト削減が見込めるのであれば、その取り組みをDXと位置づけて差し支えないだろう。

    バックオフィスからDXをはじめるべき理由

    経営からDXを進めるよう言われているが、果たして何からはじめたらいいのか分からない……という中堅・中小企業には、成果が出やすいバックオフィス業務で、小さな成功体験を積み重ねていくパックオフィスDXをお勧めしたい。その理由として下記の4つが挙げられる。

    1. アナログ業務が多く残っており、デジタル化による成果が出やすい

    一部の大企業は別として、多くの中堅・中小企業の場合、IT投資はフロントオフィスに重点が置かれがちで、バックオフィスは後回しになっているケースが多い。結果的に、紙による申請・承認や、手作業のデータ登録やチェックなど、アナログの業務がいまだに多く残っている。ITツールを導入してこうした業務をデジタル化することで大幅な業務効率化や、ペーパーレスによるコスト削減など、大きな成果が期待できる。しかも、比較的短期間で成果・効果が出る点も魅力だ。取り組みやすい、あるいは、成果が出やすい業務を選んでITツールを導入。成果を全社で共有することでドライブをかけ、次へ次へと進むことができる。

    2. 社外への影響が少ないのでトライアンドエラーで進められる

    バックオフィス業務に導入されるITツールはユーザが社内に限定されるものが多い(電子契約など社外も利用するものも一部あるが)。このため、最初にAs Is ・To Beさえしっかり固めておけば、思い切ってスピード導入して、社員とコミュニケーションをしながら臨機応変に運用を変えていくアプローチも可能だ。構想・計画から導入まで数年かかることも多い、全社DXプロジェクトと違い、特定業務に限定したデジタル化で早期に成果を上げることができる。

    3. 全従業員の満足度向上に直結するため、理解が得られやすい

    コロナ禍を経てすっかり普及・定着した感のあるテレワークだが、紙ベースのアナログ業務が多い経理などでそのメリットを享受できていないケースは実際に多い。クラウド型のITツールを導入して業務をデジタル化すれば、経理部門の社員もテレワークが可能になる。また、バックオフィスDXで導入される、ワークフロー、経費精算システム、勤怠管理システムなどのITツールは、すべての社員が利用するものでデジタル化による負担軽減や業務効率向上など波及効果は全社におよぶ。例えば、経費精算システムを導入すれば、営業担当は、領収書・レシートを添付して紙の申請書を手書き記入し提出する一連の作業から解放され、スマホで撮影した領収書・レシートのデータをシステムでアップロード&最小限の入力だけで申請でき、圧倒的に作業負担が軽減されるほか、提出のための出社も必要なくなる。

    4. SaaS製品など手軽に導入できるITツールが出揃っている

    最近、テレビCMなどを頻繁に見かけるように、各社から様々なバックオフィス向けITツールが登場しており、予算や必要な機能など豊富な選択肢から最適な製品・サービスを選べる。大がかりなSIをともなうケースも多いフロントオフィス向けシステムと違い、その中心は初期費用不要の月額料金で気軽に導入できるSaaS製品で、端末や場所を問わずテレワークにも対応する。

    SaaSで対応できないワークフローには「ExchangeUSE XG」という選択肢も

    初期投資不要で導入でき、テレワークとの親和性も高いSaaS製品だが、カスタマイズ不能で固有のニーズに対応できないのは数少ない弱点の1つだ。特にワークフローに関して、部門ごとの独自ルールで回しているケースなどでは、SaaSでは対応できず業務やルールの変更が必要になる場合も。長い時間をかけ定着してきた独自ルールを変更するとなると、現場に少なからず混乱やストレスをもたらすことになるため、できるだけ回避したいと考えるケースもあるだろう。

    こうしたニーズに応えるのが富士電機のクラウド型ワークフロー「ExchangeUSE XG」だ、パッケージ製品「ExchangeUSE」のすべての機能と柔軟なカスタマイズ性をそのままにプライベートクラウドで提供。既存ルールに手を加えることなく、複雑な独自のフローにも対応する。汎用的な稟議ソリューションのほか、旅費交通費・経費精算や勤怠管理などのソリューションも標準提供しており、Box連携オプションによって文書管理までカバー。広範なバックオフィス業務のデジタル化をワンストップで実現する。

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