クラウド型ワークフロー(SaaS製品)導入に踏み切る前に知っておきたいデメリット・注意点

クラウド デメリット

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    クラウド型ワークフローシステムをテーマとする別のコラム(こちらから)で、“パブリッククラウド(SaaS製品)”と“プライベートクラウド”、“専用ワークフローを搭載するSaaS製品”と“汎用ワークフローのパッケージ製品”などについて、対比をしながらそれぞれの特長を解説した。今回は、SaaS製品にフォーカスして、クラウドならではのデメリットなど見落としがちな注意点について紹介する。

    クラウド型ワークフローシステム(SaaS製品)が人気の理由

    経費精算や勤怠管理、稟議などのシステムには、会社のルールに則って申請・承認処理するためのワークフロー機能が欠かせない。現在、TVCMなどで頻繁に目にするSaaS製品も例外ではなく、各申請業務に必要と思われる標準的なワークフロー機能が搭載されている。クラウドで提供されるこれらのSaaS製品は、少ない初期投資で導入して月額料金で利用でき、ユーザの増減にも容易かつ瞬時に対応できムダが発生しない。インターネット接続で利用するパブリッククラウドなので、テレワークとの親和性も高く、運用管理はすべてベンダまかせにできるなどメリットが多く、企業の間で人気を博している。しかし、メリットばかりではなく少なからずデメリットもある。

    クラウド型ワークフローシステム(SaaS製品)のデメリット・注意点

    まずは、SaaSのワークフローシステムならではの問題点から見ていく。

    既存のポリシーやルールに対応できない

    SaaS製品の場合、ワークフロー機能は申請業務を回すための付属的な位置づけで、経費精算のSaaS製品であれば、一般的な企業の経費精算を想定した標準的な機能が用意され、その範囲で利用するしかなくカスタマイズはできない。ワークフローの場合、長年の慣習を元に形成された百社百様のルールで申請・承認がおこなわれるケースが多いが、SaaS製品が標準搭載するワークフローではこうした特殊なルールに対応できないことも。その場合、SaaS製品の機能に合わせてルールを変更するしかないが、全社員が頻繁に使用するワークフローも多く、影響が大きくなる。ビジネスの特殊性を考慮して策定したポリシーやルールをSaaS製品導入のために変更するのは、内部統制の緩みにつながり本末転倒と言える。

    システムごとにバラバラのワークフロー

    前項と同様の理由で問題となるのが、各種申請業務ごとに個別最適でSaaS製品を導入していくことによりバラバラになることだ。経費精算のSaaS製品と勤怠管理システムのSaaS製品のベンダが別であれば、当然ワークフロー機能のUIも異なり、同じような申請内容であってもメニューや手順が違う……といった状況に。生産性の面で課題があり、誤操作の要因にもなり得る。さらに、前項との関連で将来的なポリシーやルールの変更を妨げる可能性もある。複数SaaS製品におけるワークフロー機能の縛りが、コンプライアンスと働きやすさの両立を目指す改革の足枷となることは避けたい。

    このほか、ワークフローシステムに限らずクラウドサービス全般に言える問題点についても、最後にまとめておく。いずれも導入した後では如何ともし難いだけに、十分に検討した上で導入していただきたい。

    勝手にバージョンアップされる:SaaSに限らずクラウドサービスは定期的にバージョンアップされる。そのタイミングはベンダ側に委ねられ、ユーザ企業は従業員から問い合わせがあってはじめて知るというケースも多いようだ。バージョンアップ自体は機能強化や使いやすさの改善に向けたもので最終的にはメリットとなるが、社内におけるヘルプデスク対応など一時的に負荷が高まる可能性がある。

    セキュリティコントロールが難しい:前項と同様、クラウドサービスについては提供基盤の運用管理が全面的にベンダに委ねられる。ユーザ企業にとっては、システムの運用管理から解放されるメリットはあるが、その代わりセキュリティコントロールの余地はなく、既存のセキュリティポリシーに対応できない可能性も。

    企業の成長とともにコスト肥大化:クラウドサービスの場合、従業員規模が少ない段階ではコストメリットが大きいが、ビジネスが急成長し従業員数が増えると、利用料が肥大化しオンプレミスよりもコストが嵩むことも。経費精算や勤怠管理のように全従業員が利用するものについては、ビジネスの成長にあわせ最適なソリューションへ乗り換える必要が出てくる。

    ベンダロックインの懸念

    前項の流れで想定される懸念として、いざSaaS製品の契約を解除しようとしたら、クラウド上のデータの移行に苦労するケースがある。データを戻すことができずベンダロックイン状態にならないために、検討の際にはデータ移行サービスの有無などしっかり確認したい。

    サービスの永続性・ベンダの信頼性

    仮にデータ移行サービスがあったとしても、ベンダが突然クラウドサービスを停止してしまえば一巻の終わりである。雨後の筍の如く次々と新しいSaaS製品が登場しているが、ベンダの企業規模はもちろん、歴史や実績についてもしっかりチェックしたい。

    SaaS製品が難しい企業に「ExchangeUSE」という選択肢

    ここまで、クラウド型ワークフローシステム(SaaS製品)のデメリットや注意点について解説してきたが、いかがだったろうか。“SaaS製品をあきらめるとして、オンプレミス廃止の方針が決まっている”という企業も多いのではないだろうか。このようなケースにお勧めなのが、富士電機株式会社が提供するワークフローパッケージ「ExchangeUSE」だ。オンプレミス環境向けに提供されてきた製品だが、フル機能をプライベートクラウドで提供するサービスも用意され、上記ニーズにも対応する。きめ細かな設定(カスタマイズ)により、既存の社内規定や部門ルールを活かすこともできるので、ぜひ気軽に相談していただきたい。

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